エヴァンゲリオン

「序」エヴァ感想「なぜエヴァに乗るのか」

「なぜエヴァに乗るのか」

「序」のテーマ

以前エヴァを視聴した時と、今回改めて見直したときの印象は大きく違う。それは、主人公シンジ君に対する印象の違いだ。僕が初めて「序」を見たときは、小学生くらいだったと思うが、シンジ君は“うじうじして格好の悪いやつ”という印象だった。しかし、改めて見直すと14歳の少年がエヴァに乗って使徒と戦うなんて逃げ出したくなって当然のことだ。そんな恐ろしい現実に対して、シンジ君は何度も挫けそうになりつつも、エヴァに搭乗して使徒と戦うのだ。シンジ君は何のために使徒と戦うのか、なぜエヴァに乗るのか。これが「序」の最も重要なテーマとなる

 

大人達の押し付け

シンジ君は幼いころに母を亡くし、父であるゲンドウには長年放置されてきた。親というのは、“自分を無条件で愛してくれる存在”だ。親との関わりがないシンジ君は、人に認めて貰いたい、父(ゲンドウ)に褒めて欲しいという欲求が人一倍強い。だからエヴァに乗るのだ。使徒と戦うことで、誰かに自分の存在を肯定して欲しいのだ普通の戦隊・ヒーローものであれば、人を救いたいだとか、世界平和のために戦うのが主人公ではないだろうか。しかし、シンジ君は“人に認めて欲しい”、そのためだけに恐ろしい使徒と戦う。少し狂気すら覚える。

それにしても、シンジ君の周りの大人達に対して気持ちの悪さを感じるのは僕だけだろうか。大人達にとっては、シンジ君がエヴァに乗ってくれなければ非常に都合が悪い。初号機を操縦できるのはシンジ君しかいない。でも、シンジ君は使徒と戦いたい訳ではない。ただ純粋に“誰かに自分の存在を認めて欲しい”だけだ。そんなシンジ君の心を利用して、大人たちは自分たちの期待を押し付ける。

マリヤ「しかし、よく乗る気になってくれましたね、シンジ君」                リツコ「人の言うことにはおとなしく従う、それがあの子の処世術じゃないの?」

 

余談

ここで少し筆者の小学生時代の話をしよう。筆者はいつもクラスの学級委員を任される優等生タイプだった。先生からの評価は“真面目で優秀”。しかし、実態は筆者が大人の顔色を伺う子供であったに過ぎない。学校では常に先生の顔色を伺い、期待通りの行動を取る先生にとって“都合の良い子供”だった。“都合の良い子供”は、先生から常に面倒事を押し付けられてきた。そして6年生のある日、次の児童会長をやって欲しいと頼まれた。この学年で勤まるのは君だけだから、と。そもそも、筆者は学級委員だとか集団を引っ張る役目など全くやりたくなく、大変なことばかりで、毎日が苦しかった。そんな小学生時代だった。

初号機に乗れるのは君だけなのよ、とミサトがシンジ君に期待を押し付けたセリフは、僕に小学生時代を想起させた。シンジ君に自分自身をどこか投影させてしまう

 

なぜエヴァに乗るのか

作中に出てくるシンジ君がエヴァに乗るべき理由は、大きく3つに分類できる。①「誰かに認めて欲しい(承認欲求)」②「自分しかいない(義務的)」③「人を助けるため(能動的)」である。

①「誰かに認めて欲しい(承認欲求)」                                 前述したようにシンジ君は、エヴァに乗る事で周囲に自分の存在を認めて欲しいのだ。特に父であるゲンドウに褒めて欲しい。しかし、エヴァに乗って使徒を倒しても、誰も認めてくれないことに気づく。父に褒めて貰えない。ただ怖くて痛い思いをするだけだ。そして、第6の使徒を前にして、シンジ君はエヴァの搭乗を拒否する。

シンジ 「嫌なんだよ、エヴァに乗るのが。うまく行って当たり前、だから誰も褒めてくれない。失敗したらみんなに嫌われる、ひどけりゃ死ぬだけ。何で僕はここにいるんだ?」

 

②「自分にしかできない(義務的)」                            エヴァの搭乗を拒否するシンジ君に対して、ミサトは第2の使徒リリスを見せる。私達は差し違える覚悟で使徒と戦っている。でもエヴァで戦えるのは、あなたにしかできない。ミサトはシンジ君に戦って欲しい、とお願いする。自分にしかできない、という義務を背負ってシンジ君は出陣する。

ミサト 「あなたにしか出来ないことなの。私たちは、あなたとエヴァに、人類の未来を託しているわ」                                 シンジ 「そんなつらいこと、なんで僕なんですか?」               ミサト 「理由はないわ。その運命があなただったってだけ。ただし、シンジ君一人が、命を懸けて戦っているわけじゃない。みんな一緒よ。」

 

③「人を助けるため(能動的)」                              第6使徒からの攻撃を受けて、シンジ君の心は挫けそうになる。その時思い浮かんだのは、トウジとケンスケからの励ましの伝言だ。頼む、頑張れ、、。そして、シンジ君は立ち上がり、第6使徒を倒すことに成功する。“人類を助けるため”、というよりは、“自分にとって大切な人達を助ける”ためにシンジ君は立ち上がったのだと筆者は思う。トウジとケンスケという初めて出来た友達、そして綾波のためにシンジ君は戦う。第6使徒を倒した後、零号機の元へ駆けつける様子は、綾波が大切な存在であることを表している。自分自身よりも、他人を気遣う姿勢は、シンジ君の成長を感じさせる。

シンジ 「自分には他に何もないって、そんなこというなよ。別れ際にさよならなんて…悲しいこと言うなよ…」

 

最後に

シンジ君は決して弱くない。「逃げちゃだめだ」というセリフは有名だが、逃げた先には何もないこと、逃げても何も変わらないことをシンジ君は知っている。筆者は苦しい状況になると、その場しのぎで耐えるか、逃げ出してきた。立ち向かった経験はあまりに少ない。シンジ君の成長ストーリーに追いつけていない現実の自分を情けなく思う。

 

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