エヴァンゲリオン

「破」エヴァ感想 「旧劇との分岐」

「旧劇との分岐」

 

「破」は最高のエンタメ

筆者はエヴァのファンだけれど、一般的なロボットアニメはあまり得意ではなかったりする。だから、碇司令の「第一種戦闘配置」を聞いてもワクワクしないし、ミサイルの描写も実は退屈だったりする。しかし、エヴァをシンジ君という一人の少年の成長ストーリーとして捉えると、とてつもなく面白いのだ。そして、「破」はエンターテインメントとして最高の作品だ。オタクでなくても、ロボット好きでなくても、楽しめてしまうだろう。

 

「破」のテーマ

前作である「序」に続いて、シンジ君が“なぜエヴァに乗るのか”が一貫して「破」のテーマだと筆者は思う。「破」のラストでは、シンジ君は綾波という自分にとって大切な存在を助けるためにエヴァに乗る。父に褒められるためとか、人類のためだとかではない。これが「序」「破」において悩み続けたシンジ君が出した結論である。順を追って解釈していこう。「序」の解釈は下記記事をご覧頂きたい。

 

シンジ 「僕がどうなったっていい。世界がどうなったっていい。だけど綾波は…せめて綾波だけは、絶対助ける!」

 

幸福を描いた前半

「破」の前半は全てが順調だ。シンジ君は父ゲンドウと一緒に母の墓参りをする。第8の使徒を倒した際には、「よくやったなシンジ」と褒めて貰える。シンジ君と父ゲンドウの距離が近づいたかのように感じられる。綾波、アスカ、トウジ、ケンスケ達との楽しい日常も描かれる。なぜエヴァに乗るのか、と悩んでいた「序」のシンジ君を思い返すと、まさに幸福の日々である。こうしてシンジ君にとって、綾波、アスカ、トウジ、ケンスケ達が“大切な存在”となっていくのだ。

 

(悪)転調

アスカの搭乗した参号機が第9の使徒に侵食される。前半の幸福が一気に崩れ去る。シンジ君は第9の使徒と戦えない。アスカが乗っているからだ。シンジ君がエヴァに乗るのは、人類のためではない。だから“大切な存在”であるアスカと戦う理由などないのだ。最後は、ダミーシステムにより第9の使徒は倒される。シンジ君は、これを父の裏切りだと考える。結局、父が褒めてくれたのは、使徒を倒す自分が都合の良い存在であったに過ぎないからだ。

 

シンジ 「嫌な世界さ。もう捨てるんだ。これしていると父さんが僕を嫌な世界から守ってくれると思ってたんだ。僕の勝手な思い込みさ。」

 

それでも再度立ち上がる

父に裏切られたシンジ君は、もうエヴァには乗らないと訴える。アスカは無事なのか、様体も聞かずに、ネルフを出ていく。この場面のシンジ君はいじけている子供だ。父に裏切られた。自分の思い通りにならなかった。だから、もうエヴァには乗らない、と。シンジ君は自分のことだけを考えている

しかし、綾波が第10の使徒に侵食された状況を見て、シンジ君は再度立ち上がる。“大切な存在”を助けるために、エヴァに乗ることを決意するのだ

 

シンジ 「僕は、エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジです!!」

 

結局は自分のため?

物語において、シンジ君がエヴァに乗る理由は、「誰かに(父に)認めて貰う」という軸から「“大切な存在”を助ける」という軸に変化していくしかし、これも結局のところ自分のためにすぎないとも捉えることができる。“自分にとって”大切な綾波を助けたいのだ。綾波が傷つけば、自分が傷つく。穿った見方をすれば、“自分が傷つきたくないから”助けるのだ

 

シンジ 「行きなさいシンジ君!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために!!」

 

加持リョウジの役割

作中における加持の役割は、“大人”である。“大人”である加持は、子供であるシンジ君に何か大切なことを伝えようとする。加持はシンジ君達を日本海洋生態系保存機構に連れていく。セカンドインパクト前の青い海を見せ、何のために自分たちが戦っているのか伝えようとする。シンジ君に対して、正面から向き合い何かを伝えようとする姿勢は、“大人”、いやどこか“父親”を連想させるだろうか

 

加治 「あの何も無い赤い水とは違う。本当の海の姿なんだよ。本来、この世界は広くて、いろんな生命に満ち満ちている。その事を君らに知っておいて欲しかったんだ。」

 

どこへ向かうのか

ラストにおいて、シンジ君はサードインパクトを起こしかける。アニメ版及び旧劇においては、サードインパクトが起きた後、自分自身と向き合ったシンジ君が元の世界を望んで終劇となる。しかし、サードインパクトはカヲルが放ったカシウスの槍によって止められる。こうして、「Q」というどうしようもない現実へと進んでいくのだ。自分自身の願いのためにエヴァに乗ったシンジ君をいったいどこへ向かうのだろうか。アニメ版、旧劇とは違うルートへと進んでいく。ようやく“新”劇場版の物語が始まる

 

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